いらっしゃいませ。
今回はドラムスティックの選び方をご紹介します。
ドラムスティックは様々な種類があるので迷ってしまいますが、
大まかな特徴を把握しておけば自分の求めているスティックが見つけやすくなります。
今回は生ドラム用のスティックのご紹介です。
電子ドラム用のおすすめスティックの記事はこちらになります。
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それでは解説していきます。
・スティックって何が違うの?
ドラムスティックは一見すると違いが分かりにくいですが
実はドラマーが求めるジャンルや演奏スタイルによってそれぞれに違いがあります。
大きな違いはチップ(先端部)、太さ、長さの違いです。
〜チップの違い〜
チップはシンバル、特にライドシンバルのピング音(チップで刻む時の音)に大きな影響を与え、
スネアやタムの音の太さにも影響してきます。
チップ(先端部)の形状は多くの種類があり、それぞれの特徴を理解するのも難しいですが
チップによって演奏のしやすさに大きく影響を与えるかというとそこまで大きな差はありませんので、
基本的な考え方としては
「チップが大きければ音の粒が太く、小さければ粒が小さい音がする」と覚えておくだけでも大丈夫だと思います。
ただしチップ無しのスティック(PROMARK Rock Knocker、VATER Hammerなど)は
通常のスティックより前重心になり叩き心地が変わってきます(サウンドもかなり違います)ので注意が必要です。
またチップの材質もウッドとナイロン製がありますが、
ライドシンバルのピング音で特に違いが分かります。
ウッドチップは柔らかめで低めの音程が出ますが段々とチップが削れていき潰れたようになってしまいます。
ナイロンチップはカンカンと硬く高めの音程が出ますが、
チップ自体は削れない代わりに構造上先細りしたウッドスティックにナイロンのチップを上から被せて接着しているだけですので
接着部分が取れて飛んでいってしまう事があります。
またライドシンバルのピング音についても
ライドシンバルの種類によっては大きな差が出ない場合もあります。
ジャズで使われるような薄めのシンバル(Thin)などは違いが分かりやすいですが、
ロックで使われるような厚めのシンバル(Heavy)などは変化が出づらい傾向にあるようです。
そして最も大きな要素は
スティックの太さと長さと材質です。
太さと長さと材質による違い(メリットとデメリット)は以下のようになります。
〜太いスティックの特徴〜
15mm(5Bサイズ)、16mm(2Bサイズ)以上
太いスティックの主な特徴としては
簡単に音量が出しやすい事と音の粒が太くなる事が挙げられます。
軽く振るだけでもしっかりと太鼓やシンバルが鳴ってくれるので軽い力で大きい音量を出すのに向いています。
逆に力任せに叩こうとすると早いフレーズなどを叩くことが出来ない上に怪我のリスクもあるので、
無理な力を入れずに効率的にスティックを扱う感覚が自然と身に付きやすいのもメリットです。
ただどうしてもシンバルの音量が大きくなりやすいので
叩く時に太鼓を叩く強さとシンバルを鳴らす強さのバランスを考えて演奏した方が良いかも知れません。
ロックやメタルで使われる事が多い印象ですが、
しっかりと音量を出したい女性ドラマーや
5Bサイズほどであればメイプル材のスティックがジャズドラマーに使われる事もあります。
〜細いスティックの特徴〜
13mm(7Aサイズ)、14mm(5Aサイズ)以下
細いスティックの特徴としては
粒の細かい繊細な音が出せる事や
簡単にスティックをコントロール出来たり
早いフレーズを叩きやすい点が挙げられます。
シンバルの表現力にこだわりがある方や
複雑なフレーズを叩きたい人に向いています。
太いスティックに比べて音量は出にくいですが、
どんなスティックでも音量を出せる技量の人が使えばしっかりと音量は出ますのでそこまで問題ではありません。
ですが一定以上のかなり大きい音量を出そうとすると無理な力が入りやすくなるので
怪我をしないように注意が必要です。
小音量が出しやすいのでジャズやポップスでも良く使われますが
繊細なサウンドを求めるロックドラマーにも使われます。
〜長いスティックの特徴〜
406mm以上
長いスティックの特徴としては
細めのスティックでも遠心力でパワーが出しやすく、
スティックの握る位置を自分でコントロールする事により多彩なサウンドを出せる事が特徴です。
434mmなど非常に長いスティックは楽々とパワーが出せるのでメタルドラマーなどに愛用されています。
VIC FIRTH ( ヴィクファース ) / VIC-MN
また標準の406mmや少し長めの416mmは
あえてスティックを短く持つ事で音量を抑えて繊細な表現をしたりと表現の幅がとても広いです。
ですが例え短めに持っていたとしても叩き続けるうちに滑って元の位置に戻ってしまっていたりと
長さを利用して表現の幅を広く演奏するように扱うのは少し難易度が高いです。
〜短いスティックの特徴〜
400mm以下
短いスティックの特徴としては
太いスティックでも扱いやすくなり、
コントロール性を重視した初心者ドラマーにもオススメの長さです。
音量が小さくなると思われがちですが、
380mm台までの長さであれば
大きくサイズに影響することはありません。
総じて使いやすいスティックですが、
ドラムセットの距離や間隔が若干狭くなってしまうので
窮屈なセッティングにならないよう注意が必要です。
〜材質の違い〜
ドラムスティックは大きく分けて3種類の木材がよく使われています。
・ヒッコリー
適度な堅さと粘りを持つバランスが良いスティックです。
クルミ科の木なのでそれなりに堅いですが
しなりもあるので折れにくく音量もしっかり出ます。
反応も良いので扱いやすく、ジャンルを問わず一番良く使われている素材です。
まずはこの材質のスティックを軸に色々と試してみると良いと思います。
折れる時はベリベリっと剥がれるように折れる事が多いです。
・オーク
ヒッコリーよりも堅くて重めなスティックです。
ヒッコリーと比べると音量が出て固い音がしますがそのぶん反動も大きめです。
ハードロックやメタルなどのジャンルで使われることが多い木材ですが、
例えば13mm(7Aサイズ)のオークのスティックであれば細いので扱いやすい上のオーク材のパワーも合わせ持っているので使い所が多かったりします。
またヒッコリー、メイプルに比べると値段も安いのが特徴です。
ただ堅くて重いからヒッコリーよりも耐久性があるのかと言われればそうでもなく(耐久性はそんなに変わらない)
折れる時はわりと簡単にパキッと真っ二つに割れるように折れます。
・メイプル
軽やかさと扱いやすさが特徴のスティックです。
ヒッコリーやオークよりも軽いので、叩いていると独特のフワフワした感触があります。
音量も小さめですが、
「メイプルのスティックで叩くとシンバルの鳴りが良くなる」とも言われます。
理由としてはメイプルの方が他のスティックと比べて軽いのでシンバルの音も高音域が目立ってきらびやかなサウンドに聞こえるのだと考えます。
音量の小ささとシンバルサウンドの特徴からジャズなどの小音量編成での音楽で使われることが多いです。
軽いので16mm(2Bサイズ)の太めのスティックでもわりと扱いやすいです。
こちらは比較的折れやすく、パキッと割れるように折れることが多いです。
・筆者的スティックの選び方
筆者としてはスティックは消耗品であり
決して高い買い物ではない上に
いくらあっても困る物ではありません。
ですので気になったスティックはサイズに関係無く片っ端から全て買っていった方が良いと考えます。
スティックの好みは使っていく中で変わっくることが多いので
まずは手広く色々と試してみて自分の好みを把握していくのが重要ではないでしょうか。
また好きなドラマーがいる場合には
そのシグネイチャーモデルを買うのも
必然と自分の好きなジャンルに特化したスティックを選べるので非常に良い選択です。
もし違いの分かりやすいスティックを選んでみたい場合には
・細いスティック(7A)
・標準の太さと長さのスティック(5A.5B)
・太めのスティック(2B)
この4種類をまず買ってみると扱いやすくて良いかも知れません。
7Aサイズのスティックのオススメは
VATER ( ベーター ) / VSMBW Sweet Ride
小さめのチップと短めのテーパーで繊細なシンバルの鳴りと扱いやすさを両立しているモデルです。
比較的値段も安めです。
5Aサイズのスティックのオススメは
PROMARKお得意の無塗装仕上げで手汗が多い人も滑らずに叩けます。
扱いやすさと値段のバランスがとても良いスティックです。
5Bサイズのスティックのオススメは
少し太めの5Bサイズですが、
グリップの部分にラバーコーティングを施しており
滑り止めとスティックの跳ね返り効果が向上し
叩きやすさを重視した非常に扱いやすいモデルとなっています。
2Bサイズのスティックのオススメは
Twitterでも大人気なプロドラマー神田リョウさんのシグネイチャースティックです。
極太のスティックですが400mmと短めに設計されており
初心者ドラマーの方にも安心して使える仕様となっています。
2Bサイズは女性や初心者には不向きと一般的には言われていますが
筆者はそう考えてはいません。
神田リョウさんの演奏を見ると分かるのですが、
神田リョウさん自身は決してのパワーで叩くタイプのドラマーでは無いのですが
16mmという極太のスティックを力まずに繊細に振る事で音量を出しつつも繊細な演奏を可能にしています。
・おわりに
いかがでしたでしょうか。
少しでもあなたのスティック選びの参考になれば幸いです。
それではありがとうございました。
またお越し下さいませ。